四国一小さな上勝町から「ゼロ・ウェイスト」を広げ、
これからの暮らしのヒントを一緒に探りたい
トークショーのスピーカーは徳島県の「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」で働く大塚桃奈さん。2003年に日本で初めて自治体として「ゼロ・ウェイスト(ごみをゼロにする)宣言」を出した、徳島県上勝町のごみ分別センターが勤務先です。
収録当時、まだ社会人2年目だった彼女の社内での肩書は「CEO」。ただし、「最高経営責任者」ではなく「Chief Environmental Officer(最高環境責任者)だとのこと。
「ごみをなくすこと。それが、私の夢です。」
穏やかで、でも力強い声でそう語る彼女が、パソコンメーカー「HP」のCMに登場していたのも記憶に新しいかもしれません。
ごみの行き先をたどると、
暮らしの中に潜むあらゆる選択肢が浮かんでくる。
上勝町の住民の半数は65歳以上。さらに2040年には、現在の人口1500人がさらに半分になるそうです。いわゆるZ世代にあたる20代前半の大塚さんが、高齢化と過疎化がすすむ上勝町に移住した背景には一体何があったのでしょうか。そして、ファッションデザイナーにあこがれた少女の新たな夢が、「ごみをなくすこと」に変わった経緯とは?
ポッドキャストでは、彼女が少女時代に経験した「夢はかなう」という原体験から、上勝への移住を決意するまでの興味深いストーリーも語ってくれています。
燃えるか、燃えないか、ではなく
リサイクルできるか、できないか
日本では排出されるごみの8割が焼却されています。
一方、上勝町ではごみを45種類に分別し、そのリサイクル率は実に80%。
プラスチックは5種類、紙は9種類にも分別し、資源化はもちろん、町の大切な収入源にもなっているそうです。
これだけ聞くと、「なんだか大変そう」と腰が引けてしまうかもしれません。
しかし、大塚さんのトークショーのタイトルは表題にある通り『「ごみ」から学ぶ、「心地よい暮らし」のはじめかた』。上勝町民にとって、ごみと向き合うことと心地よい暮らしは、地続きにあるのです。ゼロ・ウェイスト宣言以降の町民による実績は、「大変そう」という消極的な感情を上書きするだけの説得力があります。
日々何気なく捨てているごみを見つめなおすことは、
自分の生活を見つめなおすこと
大塚さんが働く「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」は上から見ると大きな「?」の形をしています。
聞けば、この形になったのは後から増設した結果だそうですが、奇しくも私たちに多くの「?」を投げかけてきます。
なぜものを作るのか?
なぜそれを買うのか?
なぜそれを使うのか?
なぜ捨てるのか?
そして
なぜ人口の半数が65歳以上という山あいの小さな町で、ゼロ・ウェイストが始まったのか?
なぜ町民はそれを続けることができているのか?
さらに
今日から自分にできることは何か?
上勝町の住民たちは、そして大塚さん自身は、なぜこれらの正解のない問いに向き合い続けることができたのでしょうか。
ポッドキャストでは、遠すぎる目標に思える「ゼロ・ウェイスト」を暮らしに取り入れるキーワードを2つ紹介しています。答えが気になる方は、ぜひポッドキャストを聞いてみてください。
「正解のない問い」は、みんなで一緒に考えたい
「ゼロ・ウェイストって、どうしても正義を振りかざしてしまいがち」と大塚さんは言います。しかし、彼女のトークは、そんな押しつけがましさは感じさせません。むしろ、ごみのゆくえを想像して行動することは、「日々の生活を自分の手に取り戻す」ことであり、「自分の未来を人まかせにしない」という強い自立心を感じました。
そして、正解のない問いを一緒に考え続けることにより、人との見えるつながりが生まれること。それが、未来だけでなく「今日」の暮らしまでも、心地よくしてくれるという、力強いメッセージを受け取りました。
ごみ分別センターに併設された「HOTEL WHY」に宿泊すると、スタッフによるゼロ・ウェイスト&施設案内のスタディツアーに参加して、上勝町民の取り組みを追体験できます。「具体的なアクションプランを知りたい!」という方は、ぜひ一度「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」を訪れてみてください。
ホームページ:https://why-kamikatsu.jp/
宿泊予約サイト:https://www.chillnn.com/177bcc0b991336
Instagram:@why.kamikatsu